薬師寺を独り占め

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奈良旅行二日目の中日は、「西の京」を回ることにしました。まず始めに、午前中に薬師寺に到着したのですが、何度も訪れている場所のはずなのに、ん?これが薬師寺?と戸惑ってしまいました だって、いつもは修学旅行生でごった返し、口の達者なお坊さんがガイドをしている薬師寺しか知らなかったのです。しかしこの時は、真冬の朝だからか、参拝者がほとんど居なくて静まり返っています。
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薬師寺は、7世紀に天武天皇に寄って、皇后の鵜野讃良皇女(天智天皇の娘。つまり天武とは叔父・姪の間柄。この時代はあり得たのです)の病気平癒を祈願して発願されました。言わばこれは、二人の愛のモニュメント。皇后は後に持統天皇として即位しますから、その後念願叶って病気が治癒されたのは言うまでもありませんが、逆に天武天皇自身が、薬師寺の完成を見る前に崩御してしまいました。
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しかし最初に建設されたのは、当時の都、藤原京(現在の橿原市)で、今は「本薬師寺」と呼ばれる遺跡が残っています。現在の場所に移されたのは、平城京遷都に伴い、8世紀前半のことだそうです。
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実はこの日、P太の腹具合が再び悪化し(前の晩、油断して鰻なんて食べたからさ)、トイレからしばらく戻って来ません(笑)。その間、一人で写真を撮っていました。このお寺も、回廊が美しい。今はコの字型ですが、当初はロの字型だったようです。
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しかし、この日は裏のほうで、ゴミを大量に燃やしていたようです。風も結構強く、境内に火の付いた大きな灰が沢山飛んでいました。…いいのか? 国宝だらけの世界遺産なのに。
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残念ながら、国宝で唯一の奈良時代の建造物、東塔は現在解体修理中。こちら西塔は、16世紀に戦火に巻き込まれて焼け落ち、その後長年礎石だけだったのを、1981年に再興されました。近代に建てられたとは言え、出来るだけ奈良時代同様の技術、材料で建設された為、議論を呼び、作業は難航を極めたのを、以前NHKのドキュメンタリー番組か何かで見たことがあります。
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仏塔の先に揺れる、「水煙」が好きです。
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本尊の薬師三尊像を祀る「金堂」。こちらも長い間仮堂だったのを、1975年に再建しました。奈良に掛かる枕言葉を「青丹よし」と言いますが、この「青」は緑青のような色、「丹」は朱色を差すそうです。つまりこんな建物のような色のことで、当時の平城京は、そういう色で埋め尽くされていたのだろうと想像します。
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金堂内部は撮影禁止ですが、これは外部から撮影したもの。御本尊は、どれも飛鳥時代後期(白鳳時代)の作で、中央に薬師如来像、両脇に日光・月光菩薩像を配しており、この時代の日本の仏像の最高傑作の一つと言われています。

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しかしここでは、中央の薬師如来像より、流れるような体のライン、ポーズが柔和で美しい、脇待の日光・月光菩薩のほうに人気が集まっています。
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そしてこちらの金堂の裏にある「大講堂」は、2003年の再建。御本尊は、弥勒三尊となっています。
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真新しく塗装され直した鮮やかな建築物が多い薬師寺の中で、シックなお姿で返って目立つのは、鎌倉時代に建てられた国宝の東院堂です。
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起源は、8世紀初頭に、吉備内親王(長屋王妃)が、母親の元明天皇の冥福を祈って建立した禅堂と言われています。…トイレのサインが、親切過ぎ(笑)。
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実は私、この東院堂の御本尊である聖観世音菩薩像(国宝)が大好き。広隆寺の弥勒思惟半跏像、興福寺の阿修羅雑に並ぶ、お気に入りの仏像です。初めてお目に掛かった高校生の時に心を打たれ、今はまるで昔憧れたアイドルに会いに来た気持ちです(笑)。聖観音像を囲んで守護するのは、鎌倉時代の四天王像。
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この聖観音像も白鳳時代の作で、何でも孝徳天皇の息子、有間皇子をモデルにしているとの言い伝えがあります。有間皇子は、「万葉集のハムレット」と呼ばれる(赤塚不二夫がそう言っていた)悲劇の王子様で、小説や漫画では大抵美青年に描かれています。この仏像の美しさを見ると、本当にイケメンだったのでは?と妄想せざるを得ません。薬師寺の仏像と言えば、まず日光・月光菩薩が有名ですが、私がこの聖観音像のほうに一層惹かれるのは、ほぼ人間の原寸大と言う理由が大きいからではと思っています。日光・月光菩薩同様、均整の取れた自然な肉付きの体躯、優美な衣のラインが美しさの決め手です。
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主要伽藍の北側にあり、一般道路を挟んで薬師寺の飛び地のようになっているのが、1991年に完成した「玄奘三蔵院」。その名の通り、西遊記の三蔵法師のモデルとなった、玄奘三蔵を祀っています。
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中には、我が国を代表する日本画家、平山郁夫が、30年掛けて制作した「大唐西域壁画」がありますが、この日は開帳されていなかった為、内部には入っていません。
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石の表札をウンショと支える亀の像が、やたら印象的でした。
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何度か訪れているとは言え、、今回の参拝者の数の少なさだけではなく、後から再建・修復された建物も多く、修学旅行で来た時代とは、実は大きく印象が違っていることと思います。薬師寺は元々病気治癒祈願のお寺と言うことで、P太のお腹が早く治るよう、ここで御守りを買って上げました。彼は早速、それをジャケットの内ポケットに入れました。すると御利益覿面! 次の日には治りました~。恐るべし、薬師寺。
 
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by piyoyonyon | 2015-04-17 15:37 | 旅行・お散歩 | Comments(0)


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