天下分け目の決戦の地!その名もバトル修道院

今年の誕生日には、義母から大変嬉しいプレゼントを貰いました。それは、イングリッシュ・ヘリテイジの年間ペアチケットです。つまりこれがあると、イングリッシュ・ヘリテイジ管理の場所を、夫婦で一年間訪問し放題と言う訳です。イングリッシュ・ヘリテイジで最も人気が高いのは、「ストーンヘンジ」「バトル修道院」「ハドリアヌス帝の城壁」「ティンタジェル城」だそうです。その中で未だ唯一行っていない、前から興味深々だった「Battle Abbey バトル修道院」に、またしても非常に寒い日でしたが、まずは行くことにしました。
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バトルの町自体には何度か来たことがあるのですが、修道院は入場料が高く、今まで見学したことがありませんでした。ここは、1066年に、サクソン王ハロルド二世と、フランスのノルマンディー公ギョームに寄る、英国史を大きく変えた「ヘイスティングスの戦い」が行われた場所です。何故ヘイスティングスからかなり離れているのに、「ヘイスティングスの戦い」と呼ばれるのか?と不思議に思っていましたが、当時この地には町自体どころか村すら存在しなければ、当然名前もなかったからのようです。
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戦いはギョームが勝利し、イングランド王ウィリアム一世として即位したのは、言うまでもありません。サクソン人からノルマン人支配になった訳だから、日本の「源平合戦」や「関が原の戦い」「明治維新」どころの騒ぎではないと想像していましたが、ローマやヴァイキングと他民族支配に慣れていた一般庶民は、せいぜい「また殿様が替わった」位にしか思っていなかったのだと後から聞きました(…今や確かめる術はないが)。
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その後、信仰心の厚いウィリアム征服王に寄って、この地に修道院が創建されました。実際には、当時の教皇から、戦で大量殺人を犯した罪を懺悔する為に、修道院を建てるよう命令されたそうです。戦いに因んで「Battle バトル」と名付けられ、門前町もそれなりに発展して行きました。
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しかしウィリアムの子孫のヘンリー8世に寄って、16世紀に修道院は解散され、更に売りに出されました。すなわちここは修道院の廃墟。元々プレハブのようなヤワな造りが多かったようで、その後大部分が崩壊し、ほぼ完璧に残っているのは、この門位しかありません。因みに、追い出され職を失った修道僧が可哀相…と思っていましたが、ここの僧侶の多くは、年金をたんまり貰って悠々自適に過ごしたようです。
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買い取った貴族の館であったであろう一番大きな建物は、今は学校になっており一般の立ち入り禁止。この日は、結婚式が行われていました。つまり順路は、大体この学校の周囲をぐるりと回るコースです。
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唯一修道院当時の面影を色濃く残す門だけでも、お城のような規模と外観です。内部は暖炉等が修理・復元され、現在資料室になっています。
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あちこち狭くて急な階段を通って、秘密小部屋のような場所へ行くことが出来ます。塔の上部を、中から見上げるとこんな感じ。所々草が生えていて、吹き曝しなんですね。
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圧巻なのが壁の厚さ。1m位あるかな。
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この地上が覗ける深い穴は何かと言うと、…昔の超ぼっとんトイレです! 中世の城なんかにも、この手のトイレがあり、まあ風通しが抜群だな…とは思います。
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次に、順路に沿って、カフェも併設されているビジターズ・センターを訪れます。ヘイスティングスの戦いを再現して説明するビデオが上映され、所々「バイユー・タベストリー(ウィリアムの妻マティルダ王妃が戦いの様子の記録を刺繍して残したもの)」の図案をアニメーション化して、中々凝った見応えのある映像でした。
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その後、少し木立の中を歩くと、立派な外壁と塔の残る場所に出ます。壁と言っても部分的には一枚壁ではなく、かなり厚みがあり、内部は倉庫として使われたこともある程奥行きがあります。
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ここから見える草原が、実際に戦が行われた場所です。イギリスでも、戦場と言うと平坦な開けた場所が普通ですが、ここは「丘」で相当高低差があります。実際所々かなり傾斜が急で、戦は難航したそうです。
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戦闘(1066年10月14日)は、約6000人の兵力のノルマン側が騎馬中心だったのに対し、7000人の兵力のサクソン側はほぼ歩兵のみで、ブリテン島と大陸では文化が大きく異なっていました。最初はサクソン有利でしたが、遁走すると見せ掛けて、追うサクソン陣営が崩れた隙を攻めて、ノルマンが勝利。ハロルド王は戦死しました。サクソン軍は、約400km北のスタンフォード・ブリッジで、ノルウェー軍と対決した(同年9月25日)直後だったのだから、兵の数では多くとも、疲労し切っていただろうと想像できます。
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廃墟となっている、回廊の一部。回廊と言ってもここもかなり幅が広く、二階は修道僧の寮だったそうです。
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親子連れが集まっているのは、修道士に扮したスタッフが、子供相手にゲームを行っているから。全体的に子供の訪問者が多く、「やはり英国史上重要な場所だから、親は一度は我が子に見せたいと思うんだね」とP太に言ったら、「そんな知的で教育的な思惑はない。単に子供が騎士ごっこしたいだけだ」とバッサリ。
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回廊脇のチャプター・ハウス跡に、ハロルド王が討ち死にした場所の記念碑が埋め込まれています。しかし地元民の話に寄ると、実際死亡した場所は、現在消防署前のロータリーになっている部分だそうです。
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かつての修道院教会が立っていた場所の窪地は、「crypt」とと呼ばれる地下礼拝所の跡。大聖堂クラスの、かなり大きな教会だったようです。
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修道院が解散された後は、長年貴族のカントリー・ハウスとして使用されたので、その間敷地内には氷室(大変地下深い)や茅葺屋根のバター&チーズ製造所、ウォルド・ガーデン等が建設されました。19世紀の持ち主クレーヴランド公爵夫妻が大の園芸愛好家で、広いウォルドガーデンは、かつてはリンゴや洋ナシ、桑の木などで賑わっていたそうです。今はリンゴの木数本のみの、淋しい状態。
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クレーヴランド公爵夫人に寄って作られた、椿の小径。外壁の上は歩けるようになっていて、中々の眺め。
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おやっ、中世の修道士が歩いています。多分、さっきのゲームのスタッフですね。かなり人気の観光地で人が多く、戦や修道院当時の様子を思い浮かべるのには難しかったものの、資料は充実していて、改めて色々勉強にはなりました。やはりイギリス人なら、一度は訪れるべきであろうと思われる場所です。
  
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by piyoyonyon | 2015-05-23 15:26 | 旅行・お散歩 | Comments(0)


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も2冊目となりました。1冊目と共に宜しくお願い致します。


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