イギリス軍事史の代弁者、ドーヴァー城 1

イングリッシュ・ヘリテイジ(EH)の年会員にならない限り、絶対行けないと思っていたのが、このケント州の「Dover Castle ドーヴァー城」です。何せ、全体的に入場料の高いEHの中で、ストーン・ヘンジに次ぐ程最も高いのです(一人18ポンド=約3300円)。その上、フランス側カレーの不法移民暴動と国境管理員のストライキの為、しばらくイギリス側のドーヴァーに通じる高速20号線まで混乱・閉鎖されていましたが、最近やっと落ち着き、高速を通って行くことが出来ました。
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イギリスでヨーロッパ大陸に一番近いこの地は、いつの時代も軍事の要でありました。まず、鉄器時代に要塞が築かれ、古代ローマ時代にも要塞となりました。サクソン時代には城の前身が建てられ、続くノルマン時代に本格的な城塞が築かれました。初めて活躍し大きく発展したのは、13世紀のヘンリー二世時代。その後の市民革命時代には、英仏君主の秘密会談がが行われ、ナポレオン戦争時代も、二つの世界大戦中も、国内軍事基地の最前線として使用され、引き続き冷戦時代も軍事的な機能を果たしていました。言わば、英国軍事史の代弁者のような存在です。
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城は、海岸線に面した小高い丘の上にあり、車でかなり坂道を登って行きます。徒歩や団体バスの場合、麓から電車型の送迎バスがあるようです。
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車でやって来ると一番最初に目に入る、最も海側に立っているのは、19世紀築の兵舎&軍事事務所。
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その背後にチケット・オフィスの建物、そしてどう見ても人口の丘があります。丘の傾斜はかなり急で、馬どころか徒歩でも駆け登るのは不可能に思えます。丘の上に見えるのは教会。ところで、チケット・オフィスで入場料を払うと(または会員証を見せると)、腕輪式になるチケットをくれますが、その後の城に入る際も博物館でも、それを確認されることは一度もなく、タダ見し放題なんじゃないかと不安です(絶対試さないように)。
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城内は、こんな風になっています。一般的なイギリスの中世の城と比べても、広大で非常に複雑な構造です。今は残っていない建造物も含めると、当時は城壁や堀が三重、四重にもなった強固な砦で、二度の攻城にも持ち応えた難攻不落の城だったことが頷けます。
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この丘の脇を通ると、13世紀築の「Colton’s Gate コルトン(人名らしい)の門」が見えて来ます。
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その奥に、12世紀築の「Palace Gate 宮殿門」。これを潜ると、いよいよinner court 内庭、日本の城で言う本丸部分に入ります。
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そして、その中央にそびえるのがGreat Tower グレート・タワー。日本の城に例えると、天守閣部分になります。高い城壁に囲まれている為、丘の下から見上げた時には、そんなに高い建物には見えませんが、間近で見ると、その大きさに圧倒されます。
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典型的なノルマン様式で、基本的にはロチェスター城に良く似た四角柱のお城ですが、「中身がちゃんと詰まっている」ところが全く違います。しかも、後から中世風に造られた「ゴシック・リバイバル」ではなく、内部のみ近代の生活・装飾にに合わせて改装した訳でもなく、中世の無骨さを忠実に再現した内装が、結構珍しく面白いと思いました。当時の城での生活の様子を体感するのに、最も適した見本かも知れません。
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壁や屋上に掲げられた旗や幕が、中世のお城らしさを盛り上げます。これだけ完璧な状態で残り、歴史的にもアトラクション的にも充実しているだけあって、勿論観光客でいっぱい。外国人も多く見掛け、特に大陸に近い為、ドイツやフランス等からの修学旅行には持って来いのスポットのようです。
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まず、入り口を潜り、階段を登ると突き当たるのが、この小部屋。兵士達の駐屯室のようです。
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この大広間には、玉座が置かれています。皆次々に座って記念写真を撮りたがるので、開いている間が中々ありません。
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その隣は主寝室。暖炉が実際使われています(なので室内がちと煙い)。
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ベッドの小ささに驚きです。私には丁度良いサイズかも(笑)。家具類の多くは、赤と青と金にペイントされているのが印象的。
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玉座の後ろから、人一人がやっと通れる細い通路が通じており、小さな礼拝堂に続いていました。王の個人の祈りの場だったのかも知れません。
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その後ろには、これまた四畳半程度の控えの間らしき小部屋が。
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主寝室の脇にはリネン室。
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昔の事務室? 筆記用具と机が再現されています。当時は未だ紙の製法が中国から伝わっていなかった為、羊の皮に角のインク壷を利用して文字を書いていました。
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続いて、螺旋階段を登ります。四角柱の四隅の党部分が螺旋階段、分厚い壁の中が通路になっている構造は、ロチェスター城と同じ。
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壁のところどころに、こんな穴が開いています。今はアクリル板で塞がれていますが、当時は通気孔だったようです。
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階段を登り詰めると、屋上に到着。勿論ここからの眺めは抜群ですが、これを存分に楽しむ為には、天気の良い日を選ぶのに越したことはありません。これは、西側のドーヴァー市街地。
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南側にはドーヴァー港。この右側は、ゼブン・シスターズのような白い崖を持つ海岸線が続いてます。
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こちらは南東側の聖マリア教会。その背後には、ドーヴァー海峡の向こうのフランスが見えます。
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北東側は丘陵地帯が続き、ちょっと地味。
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屋上には、更に四隅に四角柱の塔が出っ張っており、そのうちの一つのみ上部へ通じる階段の門が開いていて、更に登ることが出来ます。
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北西側の真下に見えるのは「King’s Gate 王の門」。
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最後に、再び階下に下って、ホールと主寝室の真下にある、半地下の台所部分を見学しました。
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中世の衣装をまとったスタッフ達が、当時の様子を再現しています。
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こちらは、パンを作るの為に口論する演技をしているところ。
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大きな城だけあって、大量にパンを焼いていたようです。
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グレート・タワー以外にも、まだまだ見るべきところがたっぷりのドーヴァー城。2に続きます。
 
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by piyoyonyon | 2015-10-03 15:25 | 旅行・お散歩 | Comments(2)
Commented by Alice at 2015-10-11 08:06 x
私もこのお城行ったことがあります!たしか3,4年前。
ほんとうにおとぎばなしのお城ではなく軍事要塞ですね。
大砲がいっぱいあって戦争の生々しさがあって
不気味なかんじがしたのをおぼえています。
Commented by piyoyonyon at 2015-10-12 17:17
Aliceさん、本当に「戦争の生々しさ」って感じですよね。特にここは、冷戦時代まで軍事目的で使用されてきたので、一層ひしひし感じられます。
もう二度と、そういう目的で使われないことを願っています(汗)。


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