ローマとサクソンの遺跡、ルカルヴァー

Whitstable ウィッツタブルの商店街では、結局一時間も見て回らないうちに、ほとんどの店は閉まってしまいましたが、この時期の日没時間は9時近くで、未だしばらくは陽が高いままです。そこで、天気も抜群なことだし、このまま帰途に付くには勿体無いと、隣町Herne Bay ハーン・ベイの先にあるReculver ルカルヴァーと言う村へ、ローマ時代とサクソン時代の遺跡を見に、ほぼ10年ぶりに行くことにしました。
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ハーン・ベイとルカルヴァーは、距離的にはすぐ近くに見えますが、車で行くとなると、直線道路はなく迂回して細い田舎道を通って、丘を登ってまた下って…と言う感じなので、思いの他時間が掛かります。人気のビーチ・リゾートのすぐ近くに、こんな辺鄙な場所があるのが意外な程です。
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遺跡の脇にはパブが立っていますが、周囲はキャラバン・パークと言う宿泊施設ばかりで、賑わってはいても薄ら寂しい感じがします。村とは呼ぶものの、実際に村民は住んでいるのか?と疑ってしまいました。
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遺跡の中に別な時代の遺跡があるのは、イギリス、と言うかヨーロッパでは、全く珍しいことではありません。ここも、2世紀初頭に建てられたローマ時代の要塞の跡地に、その外塀を利用して、7世紀のサクソン時代に修道院が建てられました。
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建物は、西側からは完璧に残って建っているように見えますが、その裏は、ほぼ土台しか残っていません。
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修道院は、11世紀までに、ヴァイキングの来襲に寄って破壊されました。しかし修道院付属の教会のみは、ノルマン征服後に再利用され、19世紀初頭まで村の教区教会として使われました。教会の本名は、「St. Mary Church 聖マリア教会」と言います。
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その後、教区教会が少しだけ内陸に移転されると、この建物は打ち壊されることが決定されました。でも西側の二つの塔だけは、灯台代わりとして使う為に残されたそうです。
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遺跡周辺に僅かに残る墓石は、比較的新しい物と思われます。幾ら打ち捨てられた無縁仏(仏とは言わねーな)の墓石とは言え、この上に、結構年長の二人の子供達が登って遊び、その様子を父親が喜んで写真を撮っていました。日本との文化や倫理観、宗教観の違いを感じます。
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キリスト教は、5、6世紀にブリテン島に伝わり、その後ノルマンディー公ギョーム(イングランド王ウィリアム一世)に寄る1066年の征服前までに建てたれた、すなわちサクソン時代に起源を持つ教会は、数える程しか存在せず貴重です。元々の教会の建物は、ビサンティン様式で建てられたそうです。
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教会を取り囲む平地が、全てローマ時代の要塞跡。今は土塁しか残っていませんが、かつてはこの敷地内に、軍事本部や500人近くの兵士を収容する兵舎、浴場等が立っていたと考えらています。この要塞は、AD407年まで約200年間使用されました。
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東側の土塁の外側(向かって左)は、昔は「Wantsum Channel ワンツム海峡」と呼ばれる海でした。つまり要塞は、二方向を海に囲まれた、岬のような立地に立っていた訳です。しかし中世後期までに、「Isle of Thanet サネット島」と今でも呼ばれるケント州最東端の半島と、堆泥に寄って陸続きになりました。ワンツムは、現在はRiver Stourと呼ばれる川の一部としてのみ残っています。
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海の向こうに、Isle of Thanetの中心地、Margate マーゲートの町が見えます。ここも、人気のビーチ・リゾートです。
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案内板にある遺跡の航空写真を見て下さい。元々要塞は、ほぼ角丸正方形で、かつて教会はその中心に建っていました。しかし北側(写真左手)の1/3位の敷地は、今は崩れて海の中へ消えてしまいました。現在の教会は、文字通り崖っぷちに立っており、ここもいずれ崩壊の危機に遭う運命なのかも…。
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因みにこれは、10年前撮影の写真。モデルさん(全く知らない女性)のプロポーションがばっちりなお陰で、絵になるなーと感心しました。寸胴な人では(私だ)、こうは行きません。
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太古の重要な建物と言うのは、何かしら地霊を感じさせるような特別な立地に建てられたものですが、海を見下ろし、夕日に直面する小高い崖の上のこの場所も、確かにスピリチュアルな雰囲気が十分漂います。訪れるなら、やはり快晴の日の夕方近くが一番なように思います。
  





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by piyoyonyon | 2016-06-12 15:24 | 旅行・お散歩 | Comments(0)


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も2冊目となりました。1冊目と共に宜しくお願い致します。


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