コッツウォルズの宝石、キャッスル・クーム

Bradford on Avon ブラッドフォード・オン・エイヴォンを去る際、既に午後6時位でしたが、帰路の高速道路M4号線に入る手前で、「Castle Combe キャッスル・クーム」と言う村に、我侭を言って、ちょっとだけ立ち寄って貰うことにしました。ここは、コッツウォルズを紹介するガイド・ブックには必ず掲載されているような有名な村ですが、他のコッツウォルズの代表的な町や村はほとんど訪れたのに対し、この村だけは未だ通過したことさえありませんでした。この時期は未だ日は長いし、小さな村だから、多分30分もあれば全体を見て回れると思ったのです。そして小さな村なので、恐らく駐車場も狭いだろうから、遅い時間になら、こんな観光シーズンでも駐車出来るかも知れないと思いました。
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実際行ってみて、まず思い描いていたのと全く違う立地で驚きました。コッツウォルズの風景と聞くと、羊が草を食む広々とした牧草地のなだらかな丘陵地帯を、普通は真っ先に思い浮かべるはずです。ところがこの村は、幹線道路から奥まった、車がすれ違うのがやっとな程の細い道路が一本だけ通じる、深い森の中の川に沿った谷間にポツンと突然現れ、古いコッツウォルズ・ストーンの家々が肩寄せあっているのです。
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危惧した通り、駐車場が狭い所か皆無。路駐する(合法)しかないのです。何せ小さな小さな村なので、その場所も僅かしかありません。しかし夕暮れだった為に、一つだけ駐車スペースを確保出来てラッキーでした。
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コッツウォルズの村と言えば、Bibury バイブリーを、19世紀の元祖デザイナーのウィリアム・モリスは「イギリスで最も美しい村」と評しています。私も数回立ち寄ったことがあり、確かに美しい村です。しかしキャッスル・クームのその独特なロケーションとまとまった美しさは、バイブリー以上だと私は感じました。
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イギリスで他にこんな村を見たことがなく(どちらかと言うとドイツ語圏の村のような立地)、恐らく私にとって、今まででイギリスで最も忘れ難く魅力的な村は、ここだと思います。地図で確認すると、高速道路からも近いはずなのに、21世紀の喧騒からは掛け離れた、最早浮世離れした雰囲気。
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とは言え、バリバリの観光地なのは確かです。私達が到着した時も、こんな遅い時間なのに、狭い村はインド人の観光客でいっぱいでした。本来夏休み中なら、日中はどんなに混雑していることかと想像します。
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その上、村の半分位が、かつてのマナー・ハウスの五つ星ホテルの敷地で、道路さえ宿泊客&関係者以外立ち入り禁止。団体客の観光バスが駐車出来る場所なんて、全く村内には一切見当たらないのに、もしかしたら、ホテルに特別に駐車させて貰う契約なのかも知れません。
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まるで村全体が博物館かテーマパークのようですが、福島県の大内宿(P太が日本で最もガッカリした観光地。私は結構好きだが)とは違い、住民の活気、生活の匂いもしっかり感じられます。
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中央の建物は、村のヘソの14世紀に建造された「マーケット・クロス」。この村は、スピルバーグ監督の「War Horse 戦火の馬」を始め、映画&ドラマの撮影にも度々使われました。
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マーケット・クロスは、イギリスの古い市場の開催場所には良く設置されているモニュメントです。インチキ商売をしないよう、「神が見ているぞ」と言う意味で十字架を立てたのだとか。
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村の規模の割には、かなり立派な教区教会「セイント・アンドリュー教会」。
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かつての荘園主が、相当裕福だった為と思われます。
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しかし、荘園制が消滅し、国民の信仰心も顕著に薄らいで来ている現在では、恐らく昔程の高額納金者もなく、これだけの規模の教会を維持するには大変なようです。
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古そうな天使の壁画が印象的。
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墓地を見たら、チェックせずには居られない私(笑)。この主にジョージアン時代に流行ったらしいチェスト型の墓は、一体剥き出しの石棺なのか??いつも気になります。
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何故か赤い御影石の三つの玉が嵌め込まれた、ちょっと珍しいタイプの十字架。
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観光地とは言え、土産物屋が軒を連ねることはなく(どうせイギリスにはロクな商品が存在しない)、お土産を売っているのは、せいぜい村の教会の中で絵葉書等と、民家が手作りのお菓子を玄関先で無人販売している長閑さ。お金は郵便受けに入れる仕組みです。
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下手過ぎて迫力の看板(…本当に一体何を描いたつもり?)。
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こんもり盛り沢山で、見事なベコニアのハンギング・バスケット。
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このティールームは、予約客のみ受け付けだそうです。
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キャッスル・クームが紹介される際、掲載されるのは大抵この橋の写真。
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川の対岸は、私有地の為立ち入り禁止。総じて立ち入り禁止区域が多い為、小さな村が一層狭く感じられます。しかしそれが、観光と村民の実生活が共存出来る秘訣なのかも。
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ほんの短時間だったけど、帰り際にここに立ち寄って本当に良かったと思える程印象的な村でした。まるで、森の中に突然現れた宝石のよう。無理矢理私に付き合わされたP太も、すっかり感動していました。そして、こんなハイシーズンは、遅い時間に訪れて本当に正解でした。寒い季節なら、もっと早い時間でも駐車出来るかも知れません。四季それぞれに、美しさがあるのではと思います。

  


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by piyoyonyon | 2016-09-08 15:32 | 旅行・お散歩 | Comments(4)
Commented by weierud2 at 2016-09-08 17:12
バイブリーの町には行った事がありますが
ぴよよんさんの写真で見ると
こちらの町のほうが断然素敵ですね!
機会があったら 訪ねてみたいです。
Commented by piyoyonyon at 2016-09-09 19:26
weierud2さん、バイブリーも素敵な村ですが、
一箇所にまとまっていると言う点では、
キャッスル・クームのほうが印象的かも知れませんね。
もしこの村に一泊でも滞在出来たら、
きっと素晴らしい思い出になると思います。
Commented by 真木 at 2016-09-12 10:17 x
おお、カッスルクーム!
大昔、姉と2泊したことがあります。
マーケットクロスの真横の古い家。
ぴよよんさんの写真でいくと、左手の2階でした。
今もB&Bやってるのかな?
とにかく床が斜めに波打っていて、歩きにくいこと
この上なし!でしたっけ。古い家に住むのは忍耐が
必要ですよね。。。
Commented by piyoyonyon at 2016-09-15 04:04
真木さん、この村は本当に人気みたいですね~。
とても小さいから、もし団体客が二組でも重なったら大変だと思います(笑)。
ちゃんと確認していないんですが、村の中心にB&Bは今は見あたらないように思えました。
ウィキの英語版にも、この村のB&Bが、日本の漫画の舞台になっていると書いてありましたが。
古い傾いた家に滞在するのは、乗り物酔い起こしそうですよね(笑)。


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