赤い砂岩のチェスター大聖堂

最初の目的地、チェシャーの州都Chester チェスターには、突如アイスクリーム屋に寄り道した為予定より遅れ、丁度午後3時頃に到着しました。人気の観光都市だし、「パーク&ライド」システムが適用されているので、駐車場所を探すのが難しいかなと心配しましたが、午後3時以降は市街地の駐車場が無料でラッキーでした。利用したのは、正に街のド真ん中のショッピング・モールの地下駐車場。地上へ出ると、まず立派なタウン・ホールと大聖堂が目に入りました。迷わず、まず大聖堂を見学することにしました。
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尖塔は中央に聳える為、大聖堂としてはファサードは低く、割とシンプルに見えます。イギリスの大聖堂の多くは、砂岩で作られていますが、ここのは赤い砂岩なのが印象的。この赤い岩は、この地域一帯で産出される主要な石材で、大規模な建築物には大抵使用されているようです。
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ファサード脇の入り口兼売店から、回廊を通って大聖堂へ入ります。10年前のガイドブックには、入場料一人5ポンドと記されていたので、今は9ポンド位になっているな~と危惧しましたが、入場料制は止めて、任意の寄付金制に変更されていました。勿論寄金しました。
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この大聖堂は、11世紀のウィリアム一世のイングランド征服後に、初代チェスター伯ヒュー・ダブランシュ(通称「狼」、または「デブ」)に寄り、ベネディクト派の修道院付属教会として建てられました。それ以前にも、元々はローマ時代の初期キリスト教聖堂が存在していたと考えられ、続くサクソン時代にも聖女の埋葬地としての教会が在り、常に信仰の場ではあったようです。
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長い年月を掛けて建設された為、ノルマン(ロマネスク)様式、前・中・後期ゴシック様式が混在しています。
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拝廊左側(南西角)にある、古い大きな手の込んだ刺繍布が目を引く、割と小さ目の部屋は、17世紀の裁判所。昔の教会で行われた裁判なんて、さぞ厳格だったであろうと想像しましたが、脇に設置されていた説明書きに寄ると、深刻なのは、メアリー一世時代に新教徒を貫いて処刑された例だけ。後は、二人の女が公道で口喧嘩をした等、どう考えても裁判に掛ける程ではない些細な件ばかり…。しかもキャベツを盗んだとか、悪魔呼ばわりしたとか、「毛むじゃらのオトコオンナ」と罵ったとか、歴史的な記録に残っているのが不思議な位の下世話な内容。そして、それらに対する判決は、「うるさい!二人とも出て行け!」と明確でした。
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一方、拝廊右側には、秘密通路のような狭い螺旋階段があり、登って行くと…、
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…こじんまりとした礼拝堂に通じていました。12世紀に起源を持つ、「St. Anselm Chapel」と言います。
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チェスター大聖堂では、大きなステンド・グラス窓も見所の一つです。と言っても、多くは19世紀~20世紀作で、この大聖堂の長い歴史を考えると、それ程古くはありません。
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こちらは、大聖堂創立900年を記念して、1993年に作成されたモダンなステンド・グラス(…正直言って好きじゃねーな)。
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北側廊の壁面は、緻密なモザイク画で覆われています。
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南翼廊部分。大聖堂建築と言えば、上から見ると大抵十字形ですが、この大聖堂では、北翼廊より南翼廊のほうが、ずっと大きく設けられています。
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この大聖堂は、レゴ募金で結構話題になっています。1ポンドを寄付すると、大聖堂のレゴ模型に1ピースが加えられ、どんどん完成に向かって行くと言う仕組み。こんな楽しいアイディアなら、進んで募金したくなりますね。そして、ステンド・グラス型のピースも、ちゃんとレゴにあることにちょっと驚き。
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身廊と翼廊が交差する部分は「クロッシング」と呼ばれ、その天井は必見。まるで宇宙的です。この上部に、尖塔があります。
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また、クロッシングの床も見事。
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クロッシングの脇のちょっと変わった場所に、パイプ・オルガンが設置されています。
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北翼廊の天井は、イギリスの教会建築に良くある木製のようです。
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この北翼廊のアーチは、この大聖堂の中でも特に古そうで、ノルマン時代のオリジナルのようです。
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内陣障壁は、眩暈がする程の木彫の細かさ。身廊までは、信者なら誰でも、動物までも出入り出来、昔は臭かったらしいのですが、内陣からは聖職者のみ立ち入り出来る神聖な場所と言う意味で、内陣障壁は厳格な「間仕切り」だった訳です。
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そして、聖歌隊席の彫刻も死ぬ程細かい! 良く観察すると、席には怪物等の不気味な像がいっぱい付いてます。
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内陣の天井画が、また素敵でした。天使が描かれています。
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内陣の床も美しい。やはり神聖な場所に近付く程、装飾が凝っているようです。
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主祭壇。今は異教徒でさえ近付くことが出来、やはり寛大な宗教には有難みを感じます。
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主祭壇の真後ろにある聖母礼拝堂は、この大聖堂で特に見逃せない場所。
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何故なら、チェスター市の守護聖人「St. Werburgh 聖ワーバラ」の祠が祭られているからです。ワーバラは、7世紀のサクソン時代の王国の一つ「Mercia マーシア」の王女。当時のアングロ・サクソンにおけるキリスト教の最先進国ケント王家出身の母の影響で、熱心なキリスト教徒となり、生涯のほとんどを修道女として過ごしました。その際、イングランド中の修道院の改革に尽力を注いだ為、後に聖人に序せられました。彼女の亡骸は、一度スタッフォードシャーのHanbury ハンブリーと言う村に葬られましたが、10世紀前半にヴァイキングの来襲が盛んになると、この地に「疎開」され(聖人に良くある話で、その際彼女の遺体は全く腐敗していなかったらしい)、結局その疎開先には聖ワーバラに捧げる修道院が築かれ、人気の巡礼地となりました。しかし、16世紀にヘンリー八世に寄って修道院が解散されると、付属の教会は「キリストと祝福された処女マリア大聖堂」に変更させられ、14世紀築の聖ワーバラの霊廟も用済みで破壊されました。しかし、19世紀に残骸が発見されて、修復され再びここに安置されている訳です。今でもワーバラの名前は、イギリスやアイルランドのあちこちの地名に残っています。
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その隣にある、聖ワーバラ礼拝堂。何故こっちに、祠を祭らなかったのか不思議です。
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「参事会会議場」と訳されるチャプター・ハウス。イギリスの大聖堂のは、八角形の場合が多いのですが、ここのは普通に長方形の部屋です。修道院創立者のヒュー・ダブランシュは、現在ここに埋葬されています。
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チャプター・ハウスから回廊に通じるロビー(…つまり余り意味のない場所)。
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回廊の中庭に面したアーチには、全て聖人が描かれたステンド・グラスが嵌め込まれています。
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回廊に囲まれた中庭は、良く手入れされた庭園になっています。その中心にあるのは、噴水になった「生命の水」と言う題の彫像と、かなり深い池。
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かつての修道僧の食堂は、今は一般のカフェになっています。天井が高くて開放感があり、居心地良さそう(冬は寒いかも知れないけど)。
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本当は、大聖堂の北部分に、修道院時代の名残りの建物も多く残っているらしく、興味ありましたが、残念ながらそこまで見学する時間はありませんでした。
 




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by piyoyonyon | 2016-10-05 15:24 | 旅行・お散歩 | Comments(0)


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も2冊目となりました。1冊目と共に宜しくお願い致します。


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