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本当に怖いイギリスの手術 中編

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病院で受けるはずだった手術が受けられなかった為、仕方ないので、翌日またもやP太が有給を取ってくれて(日本よりずっと簡単に取れるのがせめてもです)、再び病院へ朝8時から手術の為に行きました。9時位に、また別な医者から呼び出され、また同じ質問を受けました。最初は、誤診や患者の取り違えを防ぐ為に、再三確認しているのかとも思いましたが、何故この21世紀にもなる何でもデータ化の時代に、しかも先進国で、一度言った事を単に記録して他にも伝達すると言う、基本的な仕組みが全く無いのでしょうか?? しかし今回は、医者から「貴女のは命の別状に関わる手術ではないから、救急医療の空き時間がない限り手術出来ない。もし今日の5時までに手術が出来なかったら、諦めて帰ってくれ」と告げれました。折りしも12月で、更に金曜日で、風邪やインフルの他にも、クリスマスで飲んで暴れて怪我する連中が急増し、緊急医療の一番忙しい時期です。
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またしても待合室の椅子で、本当に受けられるかどうか分からない手術を、只延々と待たねばなりませんでした。待合室のテレビは、ずっとニュース・チャンネルを放送していましたが、暗いロクでもないニュースばかりで益々気が滅入りました。もし今日が駄目だったら、さすがにP太はもう今月は有給が取れないでしょう。待っても待っても手術が始まる様子は一向になく、待つ事に体力も精神も無駄に消耗し、さすがにもう諦め掛けていた午後4時頃、やっと手術に呼ばれました。
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待機室で手術着に着替え、それまで着ていた服をP太に預けて別れました。その後手術室に運ばれ、点滴に麻酔が打たれると、前回日本で受けた全身麻酔では、まるでシャッターが下りたように突如意識が無くなりましたが、今回は眠るように徐々に意識が遠のいて行くのを感じました。
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患部の痛みで目が覚めた時には、総合軽度集中治療室のような場所に移されていました。麻酔で意識が無くなって以来、未だ20分位しか経過していないように感じたので、看護師さんに「あのー…、手術は終わったんでしょうか?」などと間抜けな質問をしました。寝たままで病室の壁の時計が見えて、実は1時間近く経過していました。手術痕に触れてみると、分厚いパッドが貼られていて、少なくとも出来物は無くなっているようです。痛みを訴えると、看護師さんは鎮痛剤を追加してくれました。隣のベッドの患者は、夕食の選択を尋ねられていて、「フィッシュ&チップス」「ソーセージ&マッシュ・ポテト」「ステーキ・パイ」だの「トリクル(糖蜜)ケーキ」だの、イギリスは病院食でさえ重くて不健康そうだなあ…と、思いながら聞いていました。
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しばらくして、ベッドに寝たまま他の病室に移動させられました。ダダッ広い病院内の廊下を、随分グルグルと引き廻させられたように感じました。連れて行かれた場所は、回復待機室のような部屋でした。意識ははっきりしているけど、起き上がるには未だ早いような患者さんのベッドが並んでいます。その病室の看護師さんの多くは、中国人やアジア系でした。其処でベッドに寝たまま1、2時間過ごしましたが、待てど暮らせどP太が現れません。その内、自力でトイレに行けるまで回復しましたが、P太が来ないので着替える服がなく、当然帰れません。「あのぅ、私の夫は何処に居るんでしょうか?」と看護師に尋ねても、誰も分からず。(その間またしても紅茶が出て来た) 
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3時間程経過して、やっとP太が、疲れ切った顔で病室にやって来ました。私の手術はとっくに終わっている時間なのに、一向に連絡もなければ、スタッフの誰に聞いても私の所在が分からず、つまり患者が行方不明で、広大な病院中を彷徨って尋ね回ったそうです。開いた口が塞がらないズサンさ。結局執刀医から術後の説明なんてまるでなく、看護師から説明のプリントを渡されたのみでした。それに寄ると、どう読んでも、アテローマの袋自体は摘出せず、膿だけ出したようです。では一体、何の為に全身麻酔…?? 一応痛み止めを一箱貰って帰宅しましたが、家に帰って箱を空けたら、ほぼの状態でした。幸いなことに、普通の市販の鎮痛剤でも十分効きましたけど。
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NHS(イギリスの国民健康保険)は火の車状態で、スタッフも不足し、仕事は非常にキツくて大変なのは分かるけど、それ以上に無秩序・無整理・非効率的で、非常に無駄が多いと分かりました。特にこの病院は、さすがにワースト一位に輝いただけのことはあります。後から知った事には、この昨年の12月は、イギリスでは風邪の流行に伴い記録的な患者数の多さで、多くの患者が治療を受けられずに見捨てられたそうです。少なくとも、私は手術が受けられただけでもラッキーだったし、お陰で出来物はなくなりました…と思いきや、実はこれは未だ苦難の序章に過ぎなかったのです。




by piyoyonyon | 2017-12-30 15:24 | イギリス生活・文化


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も2冊目となりました。1冊目と共に宜しくお願い致します。


by piyoyonyon

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