2017年 10月 30日 ( 1 )

イスラム教徒の結婚式

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P太が、会社の若い同僚の結婚披露宴に招待されました。その同僚は、英国生まれの英国育ちですが、インド系のイスラム教徒だそうです。私はその人とは面識がありませんが、イギリスなので、配偶者及び小さな子供は、ほぼ自動的に同伴で招待されることになります。それで、私が咄嗟に思ったことは、「貴重な機会。面白そう」と「花嫁さん、めっちゃ綺麗に違いない!」でした。昨今のテロや難民問題で、イスラム教徒に良いイメージを持っている日本人は、正直言って少ないと思います。私も然りです。決してイスラムだからと言う訳ではなく、現代文明にそぐわない宗教にしがみ付いている人が頂けません。しかし、我々がイスラム教徒について知識がなく、また知る機会もないのは、紛れも無い事実です。こんなにムスリムが多いイギリスに住んでいても、です。それで、折角見ず知らずの私まで招待して頂けるのだし、この機会にイスラムの文化や習慣に対する知識を多少得るところで、損も害も全くないだろうと思いました。
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招待状からして、西洋とはスタイルがまるで違います。花婿さんは、これをイギリスで印刷すると結構高いので、わざわざインドに発注したそうです。送料込みでも、1/3程度の値段だったとか。
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披露宴会場は、南ロンドンのクロイドン近くの、「Addington Palace アディントン宮殿」と言うお屋敷です。元々は17世紀に建てられたマナー・ハウスで、その後裕福なアメリカ商人に買い取られたり、カンタベリー大聖堂の大司教の別荘となったりもしました。
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丘勝ちな地形に造られた庭園は、著名な「ケイパビリティ」ブラウンに寄って設計され、見事だったはずですが、今は残念ながら大部分がゴルフ場になっています。
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披露宴自体は、お屋敷の中ではなく、こので行われます。
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こことて相当広く、豪華なのは確かです。8人掛けのテーブルが30位あるので、招待客は全部で200名は軽く超えそう。私が若い頃は、故郷では結構あった規模ですが、今は日本の田舎でも、それ程の派手婚が存在するのかは分かりません。
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到着した招待客は、まず全身の写るフォト・ブースに立ち、そのインスタント写真を二枚受け取り、一枚は記念に持ち帰り、もう一枚は芳名帳に貼ってお祝いのメッセージを書く仕組み。言わば、プリクラの豪華版です。これ程大きな結婚式でも、誰が来て誰が何を書いたのか、一発で分かります。これは別にイスラム教の伝統ではなく、最近のイギリスの豪華婚のオプションみたいです。私の格好が若作り過ぎたのが問題なんですけど、自分達の写真を見て、これじゃまるでお父さんと娘じゃないか!と、二人ともガクゼンとしました。
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こんな仲睦まじい写真が展示されている程ですから、新郎新婦はすっかりイギリス化されて、それ程厳格なイスラム教徒ではないようです。
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出席者は、白人が10名程度、黒人も少し、東アジア人は私だけ、後は、イスラム教徒ばかりではなさそうですが、皆インド系のようでした。
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期待した通り、正装したムスリム&インド人女性の美しいこと。金色のブレード等の装飾が非常に華やかで、ライトの下で星の如く煌きます。パッション・ピンクにエメラルド・グリーンを組み合わせたサリー等、服の地色自体が鮮やかな人も居ますが、渋めの地色一色のほうが、装飾が映えてお洒落に見えました。
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一言でムスリムと言っても、信仰の熱心さは様々です。新郎の家族は、女性は皆頭髪を出していたし、男性は預言者モハメットに対する敬意と言われている髭は生やしていないし、何より私達のような非ムスリムを招待してくれる程なので、やはりガチンゴチンの教徒ではなく、かなり自由な家族のようです。その一方で、この晴れの日でも、ほとんど黒ずくめの格好のムスリム女性も見掛けました。さすがに、全身黒テントで目だけ出した女性は居ませんでしたが。男性では、西洋のスーツでかなりお洒落にキメたインド人も居ました。
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彼女達は、ブライド・メイドとフラワー・ガールです。新婦が揃いで衣装を用意するので、彼女達の数が多い程、新婦側の財力と結婚式の豪華さの見せ所になります。この見ていて飽きない民族衣装の美しさに比べると、今の西洋の正装は、私の服装も含めて、何てつまらないんだろうと痛感しました。これに対抗出来るのは(対抗する気はありませんが)、日本人の場合、やはり着物しかありません。
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開始は1時半のはずで、新郎新婦もとっくに到着していていましたが、何故かいつまで経っても始まる様子がありません。何度か「もうすぐ始まるので着席して下さい」とアナウンスがあっても、多くの出席者が好き勝手に歩き回っています。結局、新郎新婦の入場は3時過ぎ!
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正餐開始も、当然その後です。ムスリムなので、アルコール類は一切ありません。食事は、勿論インド料理。前菜は、サラダ、タンドリー・チキン、魚のフライ、そして何故か春巻きを、各テーブルでセルフ・サービスで取り分けるシステムでした。
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私の知る限り、一般のインドのレストランでは、春巻き、炒飯、焼きソバ程度の中華料理はメニューにあります。しかしこの春巻きが…、春巻きなのに相当辛かった。こんなに辛い春巻きは、生まれて初めてです。味は、概ね美味しかったのですが。
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メインはカレー。チキン・ティッカ・マサラ、ダール(豆カレー)の他に、もう一つ違うソースのチキン・カレー、そして野菜カレーの四種。白米と、シナモン香るピラウ・ライスが用意されていました。イスラム教徒は、豚肉を不浄として食べません。ヒンドゥー教徒は、牛肉を神聖視して食べません。それでインドの大抵の飲食店では、肉は鶏か羊しか提供しないのですが、ここではラムはなくてチキンだけでした。
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普通の結婚式の食事と言うと、特に西洋料理のコースの場合、給仕に時間が掛かり、人に寄っては冷めていたりパサパサに乾いていたりで、余り美味しくないのが定番です。その点カレーは、かなり時間が経って煮詰まっても、更に美味しくなるだけで、こんな大規模のパーティーには持って来いの料理だ、とP太は言います。実際彼にとっては、今まで一番美味しい結婚式の食事だったそうです。私にとっては、美味しいことは美味しかったのですが、全体的にかなり辛く(ダールでさえ辛い)、油とニンニクの量も半端なく、更に散々待った空きっ腹状態で食べたので、次の日は腹具合が少し可笑しくなりました。
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デザートだけは西洋風。チーズ・ケーキのサマー・フルーツ・ソース乗せです。かなりあっさり軽くて、ほとんどムースのようなチーズ・ケーキでした。
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他の招待客も、同じくかなり空腹だったらしく、皆一気に平らげたようです。食事が終わるや否や、再び皆テーブルを好き勝手に離れて行きます。普通のイギリスの結婚披露宴と言うと、日本同様にスピーチまたスピーチなんですけど、この披露宴、スピーチや出し物等が全くないんです! 司会のアナウンスすら、ほとんどありません。良く言えば、全く自由気ままで堅苦しくないのです。
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じゃあテーブルで他の招待客と談笑でもしよう…にも、出席するはずだったP太の同僚・上司の2~3組が、待てど暮らせど誰一人来ない! まさかの、ドタキャンどころかすっぽかしです。こんなに人が多いのに、私達のテーブルは非常に寂しい状態でした。後で義母に話したところ、「白人だから、ムスリムの結婚式に躊躇したんじゃない?」と言っていましたが、もしそうだったら、何か理由を付けて予め断れば良いだけだし、同僚の一人は同じムスリムだそうです。
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仕方なく、新郎新婦に挨拶に行き、カードとお祝いを渡して会場を去ることにしました(既に5時頃)。ウェディング・ケーキが、上部の重さに耐え兼ねて、崩壊寸前のピサの斜塔状態。
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期待した通り、花嫁さんもウットリ綺麗ですが、花婿さんも男前で、とても絵になるカップルです。まるでボリウッド・スターのよう。P太に寄ると、新郎は頭も抜群に良いそうです。背後の女性達も、凄い美人揃い。
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義母は一度ムスリムの結婚披露宴に出席したことがあり、やたら長い上に相当奇妙だったと感じたそうです。また義母は、インド人の結婚式にも招待されたことがあるものの、辛い食べ物が大の苦手の為、食事をほとんど食べられなかったとか。P太は、モーリシャスの富豪のインド人の友人の結婚式には出席したことがあります。招待客は五千人規模で、警察が交通整理に出る程だったそうです。P太の友人アジョイもインド人ですが、古城で行われた結婚式は、インドらしさは微塵もありませんでした。たかがこの一件に参加したところで、イスラム教徒orインド人の結婚式が分かったとは全然言えませんが、スピーチも進行係もない位で、驚く程の変わった物は特に無かったと言うのが感想です。始終ボリウッド音楽が、大音響で会場に流れていたのも想定内です。P太の同僚達が無断欠席した事のほうが、余程驚きでショックでした。
  




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by piyoyonyon | 2017-10-30 15:33 | 旅行・お散歩 | Comments(0)


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も2冊目となりました。1冊目と共に宜しくお願い致します。


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