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デブ猫に捧ぐ絵本「キャットゥンドラ」

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フリマで、表紙が割と可愛い猫の絵だし古そうなので、手にとって中身をパラパラと読んでみたら、独特な話の展開が即効気に入って買った中々の傑作です。発行は1978年で、アメリカで出版されたようです。
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主人公は、「キャットゥンドラ」と呼ばれる太ったメス猫。森の中の打ち捨てられたボロボロの山小屋に、一匹で「隠れて」住んでいます。
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何故なら、森の他の動物達から姿を見られる度に、「やーい、太っちょ!」と罵られて嘲笑われるから。この「Catundra キャットゥンドラ」と言う通称自体が、アメリカでは何か侮辱的な言葉を元にしている造語らしいのですが、イギリス人のP太に聞いても分かりませんでした。もしかしたら、イタリア語で「不吉」や「破滅」を意味する「カッサンドラ(トロイアの王女の名に因む)」から来ているのかも。だとしたら、壮絶なイジメだ…。
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この日も、「デブ~デブ~百貫デブ~♪(レトロ)」のように囃し立てられ、散々からかわれたキャットゥンドラは、すっかり悲しい気持ちになり、忘れる為にも沢山沢山食べました。…って、おい、野良猫のはずなのに、この食べ物は何処から出て来たんじゃい。そもそも、ノラなのに何故そんなに肥満?? しかも、猫が食パンとかケーキとかパフェを食べちょる。その上、涙流しているし! 尻尾はリスみたいだし。この突っ込み所満載の絵には、一発で心を奪われました(笑)。額装して飾りたい程、気に入っています。
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そんな毎日の繰り返しなので、益々大デブとなり、出歩くのもままならなくなったキャットゥンドラ。ストレスで過食となり、一層肥満を招く、抜け出すのが非常に困難な悲しいデブの連鎖です。こんな体では餌も捕れなくなり、空腹で更に惨めな気持ちになりました。
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そんな折、彼女は一匹のモグラを捕まえます。一体どんなノロマなモグラが、これ程太った猫に捕まったのでしょう。って言うか、モグラかこれ?! ネズミにしか見えないんですけど。
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「ね、猫さん、僕を食べるんですか?」「勿論にゃー。惨めな気分だからおまえを食ってやるにゃ。幸せになれるのは食べることだけなのにゃッッ」「…そりゃ全く間違っていますよ、猫さん。貴女が惨めなのは、そんなに食べてばかりで太っているからだ。それよりアナタ、痩せるべきです」と言うモグラの正論に、何故かいきなり納得したキャットゥンドラは、運動とダイエットを熱心に始めます。
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ネズミ、いやモグラも、その間にさっさと逃げたら良いのに、何故かキャットゥンドラに付き合い、彼女の減量に助言したり激励したりします。
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そのダイエットってのが、猫なのに果物と生野菜ばっかりで、更にチーズやバナナはハイカロリーだし、これまた突っ込みたくなります。野菜だけ食べていても痩せないのは、私が保証するさ…。
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とは言え、キャットゥンドラは見る見る減量に成功し、最早誰も彼女を笑わなくなりました。その上、見違える程可愛い猫になりました。おまけにモグラの友達も出来て、めでたしめでたし。最後に、「もし貴方が太っていて痩せたかったら、このお話を思い出して下さい」とのメッセージが。
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作者は、実際身近なデブ猫達を見ていて(そんなにいるのか)、このお話のインスピレーションを得たそうです。更に、世の中の全てのデブ猫に捧ぐと書いてあります。因みに、同じ作者とイラストレーターのコンビで、他にも沢山絵本を出していますが、可愛いのはこの本だけで、他は皆、外国らしくクセが強過ぎて気持ち悪く描かれた動物達が登場します。
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P太に聞かせたら大笑いしていたけど、「これいつの時代の本? 今だったら、太っている人に対する差別だって訴えられるよ」と言いました。いえ、差別って言っても、人ではなく猫ですから! …と思ったら、この本は今でもアメリカで発行され続けていて、実際物議を醸し出しているそうです。アマゾンでの評価なんて、「5」か「1」の両極端だし。やはり、主に太っている人からの批判が多いようです。Reddit(英語版2chのようなもの)でも、この本に関するスレッドが立てられていました。まあ、正直言って、子供には読ませたくない内容ですよね。容姿や身体的に問題のある場合、苛めてもOK、と肯定しているようなものですから。しかも、それを回避するのには、あくまで本にゃんが原因を解決しなきゃ駄目な訳です。ダイエットにしても、特に成長期の子供にとっては、野菜や果物だけ食べていれば良いなんて(勿論お菓子だけよりはマシですが)、現在は完璧に間違った情報です。とは言え、色んな意味で、猫好きな大人には凄く楽しめる絵本です。
 




by piyoyonyon | 2017-01-24 15:27 | 本・メディア


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