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セヴァーン渓谷の城下町ブリッジノース

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今月の中頃、P太と義母と一緒に、シュロプシャー州のデヴィッド・オースティンのバラ園を、念願の初夏に見に行く事にしました。うちからは遠いので、何処かバラ園近辺に一泊する事になります。バラ園の所在する村Albrighton アルブライトン周辺の主な町は、Telford テルフォードとWolverhampton ウルヴァーハンプトンですが、どちらも味気ない工業都市で、出来れば観光的に面白い場所に宿泊したいと全員希望しました。前回滞在したShrewsbury シュルーズブリは、何度訪れても良い位魅力的だけど、アルブライトンからはちと距離があります。
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ふと、アルブライトンの南方に、Bridgnorth ブリッジノースと言う町が在り、地図上では城下町の印が付いている事に気付きました。P太と義母は、ブリッジノースも単なる工業の町じゃないかと言っていましたが、試しにググって見ると、すぐにとても魅力的な町に思えました。セヴァーン渓谷沿いの古いマーケット・タウンで、小さい町ながら、切り立った崖の上の「High Town 上町」と、川沿いの谷底の「Low Town 下町」に分かれている、ドラマティックな地形の町らしいのです。良し、今回の宿泊先は、このブリッジノースの周辺にしようと決定。
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バラの一番美しい季節と言っても、天気が良くないと意味がありませんが、イギリスは大抵西から湿った大気が流れて来る為、この季節でも西ミッドランド地方は、南東に比べて晴れの日が少ないんです。とは言え、P太は早めに有給の申請をしなければならず、結局出発日は曇天+霧雨。おまけにタイミング悪く、出発の数日前に義母の足の痛みが悪化し、その上P太の通風の発作も始まりました。そんな旅行に適さない状態でしたが、午後1時頃、最初の目的地のブリッジノースに到着。
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町の中心部に駐車したら、丁度市場が開かれていました。果物や植物や日用雑貨も売っていれば、手作りジャムやビンテージも売られていて、一般の市場とファーマーズ・マーケットとフリマとアンティーク・マーケットが、小規模ながら一緒くたになったような市場でした。植物は、フリマでも概ね割と高いんですが、ここのはかなりお買い得でした。
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このビンテージ・ジュエリー専門のストールは、かなり品揃えが充実。お値段もアンティーク・マーケットやモールに比べるとお安く、私も義母もネックレスを買いました。
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そして、何はともあれ、町のシンボルの一つの古城(廃墟)を見学しようと思いました。検索すると、駐車場から700m足らずとのこと。しかし義母もP太も、その距離ですら歩けそうもありません。生憎城跡近くには駐車場はなく、折りしも小雨が振り出したので、結局観光も全くせずに、この町を去るしかないか…と言う事になりました(涙)。
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ところが、町を離れる為に車で巡回している際、こんな面白そうな光景が目に入りました。すぐ脇に無料の駐車場の空きが一つだけあったので、即座に車を止めました。
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これは「Lavington’s Hole ラヴィントンの穴」と呼ばれる、17世紀の清教徒革命の内戦時代のトンネルです。この赤い砂岩の崖上に在る城に、国王派の軍が篭城した際、敵対する議会派軍が、攻め入る為にトンネルを掘ったのです。ブリッジノースは、ミッドランドの国王派の拠点でした。
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ただしその穴は一個だけで、他の無数の穴は、1960年代まで住居として使われていたそうです。道理で所々に、レンガ積みが残っている訳です。小さい穴には、今も鳥が住んでいます。
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崩れ易い砂岩なので、安全の為に穴は全て閉鎖されていますが、鉄格子の下に穴を掘って侵入し、どうもホームレスが住み着いている様子…。
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ちょっとギョッとするのは、この崖の真上に住宅が立っている事。もしかして、横穴と家の地下で繋がっているとか??
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周辺は花いっぱいの公園に整備されており、こんなハニーサックルのアーチがあって、辺り一面に濃厚な芳香を放っていました。
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無料駐車場は最長40分間までなので、余った時間で少しだけ周囲を散策しました。
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セヴァーン川に掛かるブリッジノース橋。現在の橋は19世紀初頭に修復されたものですが、最初に記録に現れるのは13世紀で、恐らくそれ以前のサクソン時代から、この場所には橋が存在しただろうと言われています。この南側の袂には、移築された12世紀の礼拝堂があるそうです。
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橋の側に、鉄の処女っぽい道路標識が?と思ったら、中世の騎士を表しているようです。「マーシア街道」と書いてあり、マーシアはサクソン時代にイングランド中部一帯を治めていた王国です。
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橋のほぼ向かい側辺りの細い路地の奥に、登山列車の駅を発見。国内最古、かつ最も急勾配な登山列車が、ノースブリッジに存在する事は予め知っていましたが、こんな商店街の合間に駅舎がいきなり現れ、いきなり乗れるとは、ちと驚きです。
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しかも、駅舎の上はB&Bになっていて宿泊出来ます。
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料金は、一人往復1.6ポンド(往復のみ)と、イギリスとしては破格の安さ! 古い車体も面白そうだし、上部は眺めが良いのに決まっているので、これに乗らない手はありません。駅舎とプラットホームは極めて簡素・簡潔で、返って歩くのが不自由な義母にとっても乗り降り簡単。
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この登山列車「Birdgnorth Cliff Railway」は、急な崖に阻まれた上町と下町を結ぶ為、また勿論観光の為に、1892年に開通したそうです。
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1940年代に電気化されるまでは、水圧ポンプ式で運行していました。車体は、1950年代から変わらぬまま。定員18名とのことですが、現在のイギリス人の体格では無理じゃないか??
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確かに凄い急勾配です。元々の崖はほぼ垂直なので、これでもわざわざ崖を削って傾斜を作って設置した結果です。
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勿論距離的には大した事はなく、あっと言う間に頂上に到着。かつてはイギリスのあちこちに、登山列車やケーブル・カーが存在したようですが、自家用車が一般化するに従って、それらは廃止されて行きました。しかしこのCliff Railwayは、今でも残って現役で働いている所が素晴らしいと思います。レトロな車体もロゴも、歴史的な街並みに馴染んでいます。
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天気と視界は生憎ですが、期待した通り、ここからの眺望は、登山列車に乗ってやって来る価値が十分あると思わせる良さです。
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崖の縁に沿って、「Castle Walk」と呼ばれるプロムナードが続いています。
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この町は、有名な世界遺産の「アイアン・ブリッジ」の下流に位置しますが、実際には「gorge 大渓谷」と呼ぶ程の谷もなく、流れの穏やかなアイアン・ブリッジ周辺のセヴァーン川に比べ、こちらのほうが山(と言うか丘)が険しく、所々岩場がゴツゴツと剥き出しで、川の風景そのものは変化に富んでいます。そして川だけでなく、家並みも美しい。
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対岸の丘の上の牧草地の真ん中に、ポツンと小さな礼拝堂らしき建物が立っているのが見えます。
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こちらの丘の頂上には、またしても赤い垂直の岩崖。
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橋の袂では、餌をくれる人達にカモやガチョウが群がっていました。
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Castle Walk沿いに、この町のランドマークの一つ、教区教会の「セイント・メアリー・マグダレーン(マグダラのマリア)教会」が見えて来ました。
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18世紀末にThomas Telfordに寄って設計された、ジョージアン様式の教会です。今は、この町のもう一つの教区教会だったセイント・レオナード教会と、合体した形式になっているようです。
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この教会の裏手、墓地の向こうが、最初に目指していた古城になっていました。残念ながら、駐車場の制限時間が迫っていて、城に近付く時間まではありませんでした。内戦の際に破壊され、かなり荒廃した城とは聞いていましたが、確かに聞きしに勝る豪快な廃墟っぷりです。
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サセックスのブランバー城の廃墟同様に、ほとんど壁一枚だけが残っていて、しかも近付くと、ピサの斜塔より傾いているのが分かるそうです。
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立派な木組みの建物のタウンホールやハイストリートの街並み、また観光用蒸気機関車のセヴァーン渓谷鉄道等、本当は他にも色々見所のある町なのですが、ほんのちょっとしか廻る事が出来ませんでした。しかし、義母もP太も、登山列車と崖上からの眺めに大満足していました。観光地として全国的には全く知られていませんが(…中部では結構人気なのかも)、実際にはこんなに魅力的な町だった事に、二人共かなり驚いたそうです。もう少し足の調子が良くなった時に、ついでにもっと天気の良い日に再び訪れたいと、二人共喜んで言っていました。




by piyoyonyon | 2018-06-28 15:36 | 旅行・お散歩


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も2冊目となりました。1冊目と共に宜しくお願い致します。


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