2017年 11月 29日 ( 1 )

秋のボディアム城

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先月末のお天気の良い平日に、有給休暇を取ったP太と一緒に、イースト・サセックス州南部に在る、NT(ナショナルトラスト)の「Bodiam Castle ボディアム城」へ出掛けました。ここは、イギリスを代表する中世の城の一つで、イギリスの城のカレンダーや、ナショナルトラストのガイドブックの表紙にも登場する程、絵になるロマンティックな古城です。
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平日なのに、予備の駐車場を使用する程混んでいました。海外(フランスやドイツ)からの車も、結構多く見掛けました。左手に見える四角いコンクリートの建物は、第二次世界大戦の砲撃代の跡。しかし、こんな大きな町から離れた辺鄙な場所が、ドイツ軍に攻撃される事はなかった為、兵士達はダラダラと専ら茶を飲んで過ごしていたそうです。
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ここを訪れるのは三度目ですが、二度目は真冬だった為、城内は閉鎖されて入れず、堀の外側から眺めるだけでした。
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四方を堀に囲まれている訳ですが、日本の城の深い堀+切り立った石垣とは全く違い、水面が地面と大差ない高さの、非常に幅の広い堀で、まるで湖に浮かんでいる城に見えると思います。
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これは城の南側で、正面に見えますが裏門です。城主夫妻の個人的な入り口に使用されたのではと言われ、かつては橋が架かっていたようです。
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この日は風がほとんどなかった為、水面に写る城もはっきりと美しく見えます。
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夏には堀に睡蓮が花開き、更にロマンティックな光景になるし、冬には堀の水面から登る蒸気霧に城が包まれた姿も幻想的です。
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とにかく、歴史的ドラマの撮影にも度々使用される、非常に絵になる城です。
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堀の東側の草原に、中世の騎士のような木像が建てられていました。
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その側には、こんな木像も。大蛇にしか見えませんが、もしこれが竜だとしたら、人物のほうは、イングランドの守護聖人セイント・ジョージ(聖ゲルギオウス)ではないかと思います。
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城の正門=門楼は、北側に在ります。城の北の斜面には、ブドウ畑が広がっています。地球温暖化で、イギリスのワインの生産量が急増しているそうです。
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城内へは、この木橋を通って行きます。
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現在は、NTの受け付けや駐車場が南側にあるから、南が正面に思えますが、当時は主要道路が北西から伸びていた為、北側の門楼に続く橋も、堀の北西側(写真右手)から伸びていたそうです。
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こちらが門楼(ゲートハウス)。
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門の天井に穴が沢山開いていますが、敵が侵入した際、この穴から弓矢で打ったり、石や煮え滾る油を落としたりする為に開けられたのではないかと言われています。別名「殺人穴」。
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堀の外からはほぼ完璧な城に見えますが、御覧の通り、内部はほぼがらんどうの廃墟です。
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しかも、この敷地全てが城だった訳でなく、建物は塔に連なる四角い外壁に沿っての部分だけで、中央の広い部分は中庭でした。
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このボディアム城は、14世紀末に、百年戦争での活躍で莫大な富と栄誉を得た、国王直属の騎士であり国会議員だった、Sir.Edward Dallingridge エドワード・ダリングリッジ卿に寄って建てられました。国内の反乱や、フランスからの侵略に備えて建設されましたが、実際には一度も攻撃されたことはないそうです。
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ノルマン様式より後の時代で、この頃から、城に要塞としての戦力的な実用性だけでなく、優雅で快適な住居としての建築美が求められるようになりました。
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しかし17世紀の清教徒革命の際に、当時の城主が国王側だった為、城はオリヴァー・クロムウェルに破壊されて朽ち果てて行きました。
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こちらは、西側に在る従者用の厨房だった部分。これは、巨大な調理用竈だったようです。この城では、西半分は概ね召使い達のスペースで、城主一家は主に東側に住んでいました。
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南東の大広間だった部分。玉座…と言うか、城主の席が再現されていました。
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スタッフが、中世の衣装を纏い案内しています。
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南西の塔の地下は、井戸になっていました。単に堀の水が流れ込んでいるだけに見え、とても飲用出来る水に見えませんが、実際当時でも飲用は不可能で、子供でも衛生上は安全な酒類(エール)を飲まざるを得なかったそうです。
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塔は外側から見ると円柱なのに、内部は六角形になっているのが分かります。勿論最初は、天井で塞がれていました。この南西塔の上部は、かつては巨大な鳩小屋で、約200羽の鳩が、卵や肉の食用の為に飼われていたそうです。
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南(裏門)塔の一階。先程写真を撮った対岸が見えます。
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ここは、塔の上にも登れる仕組みになっています。まるで梯子のように急な、手すりがなきゃ絶対ムリな螺旋階段です。
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それぞれの階は、せいぜい6畳もない広さ。
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それでも暖炉とトイレは、各階に設置されていました。勿論、超急降下ボットン式です(笑)。
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暖炉の脇に、不思議な模様の蝋印を発見。
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非常に急な上に真っ暗な螺旋階段を上り詰めて(結構緊張)、屋上に到着。
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これは、城の南東に広がる丘陵地帯です。丁度、紅葉の美しい季節でした。未だ紅葉の始まったばかりの木もあれば、既に葉をすっかり落とした裸木もあります。イギリスの紅葉は、日本のように一気にドラマティックな変化を遂げる訳ではないのです。
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こちらは南西側。最初にこの城を訪れたのは、イギリスに住み始めて間もない頃でした。その時は、こんな風に塔には登れる仕組みではなかったと記憶していますが、10年の間に整備されて、一般公開されるようになったようです。
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ここの四隅の塔は内部が全て六角形なのに、南東の塔の内部だけは、何故か正六角形ではなく不規則な六角形になっていました。
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四角い東塔と円柱の南東塔と、城主夫妻の居室が在った部分。
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礼拝堂だった部分。かつては、この窓にステンド・グラスが嵌め込まれていたようです。その頃ステンド・グラスは大変高価だったのに違いなく、エドワード卿の財力を物語っています。
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礼拝堂の床に、当時のタイルが少しだけ残っていました。あ、南塔の暖炉の文様はコレだ。
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北東塔の内部も、少しだけ登れます。
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楼門から上部へ登って、北西塔へ渡ることが出来ます。部屋の一部が再現されていました。
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城の内部全体を実感するのには、ここは最高のスポットみたい。
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中世の衣装も再現されていました。当時、布地や衣類は大変貴重だったので、虫に食われては一大事。そこで虫を避ける為、着ない間は臭いトイレの上に干していたそうです。…それは…、避けるのは虫だけではなかったことでしょう。
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堀に囲まれた城内部に入らなければ、高い入場料を払う必要はないので、周囲は地元周辺の人々の、格好のピクニックや犬の散歩スポットになっているようです。
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要塞としての意味が強い、無骨なノルマン様式の古城を中心に見学して来たせいか、生活を優雅かつ贅沢に楽しみ始めた時代の城との違いを、はっきりと感じました。塔に登れるようになったお陰が、大きいと思います。最初に訪れた時より、この城に対してずっと充実した印象を得ました。
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最後に、やっぱりNTのティー・ルームでクリームティーの〆となりました~。
 


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by piyoyonyon | 2017-11-29 15:28 | 旅行・お散歩 | Comments(0)


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